ついに2冊目、
第2部「難波」に突入しました。
なので今日は役者メンバーがガラリと変わり、
私にとっては新鮮でした。
読み合わせ–立ち稽古
の順番で、第1場から第3場までいきました。
これからしばらくは、3シーンずつ進めていく演出計画だそうです。
1場の立ちに入った辺りで
蜷川さんの予言がありました。
「ものすごい速さでいっちゃいそうだね。楽勝だ」
その言葉通り、今日はなんと3時間少々で稽古が終わりました!
昨日は6時間弱あったので、その違いに皆驚きです。
目標を定め、進みがいい時は早く終わるその潔さが、
稽古場を緩ませないコツなのかもしれません。
1部1幕の1場は、読みだけで約25分もある、長めのシーンです。
しかし今日、1場に対してほとんどダメ出しはありませんでした。
水野美紀さん(本日、初始動!)や阿部寛さんをはじめ、
役者さんになんら問題がない、といった感じでした。
蜷川さんの口から「安心」という言葉を今日、何度か聞きました。
初始動、と先程書きましたが、
第2部で初めて、水野さん演じるナタリー・ゲルツェンが登場するのです。
今までの沈黙の期間が長かっただけに、
水野さんはどんな演技をするのだろう?
どういうナタリーを演じるのだろう?
と、私はかなりどきどきして稽古場にいきました。
今日終ってみて、こう感じました。
水野さんと阿部さんは、
「観客を引き付ける」演技をする。
細かくいうと・・聞き耳を立てる、目を凝らして見る・・
こういったことを観客にさせるのが、この2人の演技です。
以前から
阿部さんが演技を始めるとなぜか稽古場がシーンとして、
みんなが見守るように阿部さんを見つめるなぁと思っていました。
(わたしもその見つめてる中の一人です)
この現象は、池内さん1発目(稽古4日目)の
素晴らしい長台詞中にも起こったことです。
あれは・・・舞台から広がる緊張感。
絶対に観客を黙らせる圧倒的な演技。
しかし、水野さん阿部さんの作り出す緊張感は、
池内さんとはまた違う緊張感のような気がします。
より繊細、といいますか。
阿部さんは独特な台詞の「間」で、
観客の心をつかみます。
安定した演技の中に
観る者をハッとさせる切り替えがちりばめられています。
また、どたばたはしませんが、
時折動きが大胆になるので
これまた観客は意表を突かれるのです。
あくまで「安定した演技」が土台にあるように思えます。
どっしりとした重量感・・いえいえ、
「重量感」で片付けてしまってはいけませんね。
今後阿部さんの演技についていい説明が出来るよう、
もう少し研究が必要ですね・・。
さて、水野さん。
ナタリーを落ち着いた、おとなしい女性として演じていました。
少し触ったら崩れてしまいそうな女の心、
透明度の高い清らかさ。
(おそらく、水野さんのイメージを引きずってます、すみません)
全体的にあまり動きはありませんが、
安心して観れる、つまり安定しています。
確実に言葉が届いて来ます。
少し物足りなさはあるかもしれませんが、
かえってハンカチをさっと振っただけでドキっとするので有効だと思います。
2人の大きな共通点は、
「声を必要以上に張り上げない」
というところです。
(もちろん感情的になる時には大きな声になりますが。)
極端に声を落としても、問題ありません。
観客が物音ひとつ立てずに聞いているので必ず聞こえてくるのです。
むしろリアリティーが出て、
思わず役者の内面に引き込まれます。
聞こう、見ようとする観客の心をみごとにかき立てます。
観客側からして、「見たくなる演技」と「見せてもらえる演技」
(あれ?赤鬼の
「したい女」と「してやらなくちゃならない女」・・?
いえいえ、似てるけど違います。笑)
どちらも魅力的ですが、ひと味違った感覚です。